Nothingのサブブランド、CMF by Nothingから発売された「CMF Watch 3 Pro」。気づけば3世代目です。
前モデルのCMF Watch Pro 2と命名規則が変わっていることはさておき、今回のモデルは装着感、操作感、接続の安定性(特に前モデルでは酷かった)の面でだいぶ良くなっていました。
結論からいうと、致命的な問題は改善されていて、3世代目にしてようやくスマートウォッチとしておすすめできる製品に仕上がっていました。
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箱は前モデルのものより薄くなりました。今回は3つのバリエーションがある中で、ライトグレーを選んでいます。

同梱物は画像にあるように、本体、バンドと取り付けガイド、充電ケーブル、マニュアルという構成です。

前モデルではなかったと記憶しているのですが、このバンドの取り付けガイドはちょっと嬉しい配慮です。たまに「あれ、上下どっちだ...」となることがあるので。
デザインと外観

今回のシリーズは各バリエーションで見た目がだいぶ変わりますが、グレーモデルは丸みを帯びた滑らかなベゼルに、前モデルよりも明るいシルバーに仕上がっています。
画面サイズも拡大しつつ占有率も高くなっているので、視認性が向上している印象です。

バンドはなんだか不思議な見た目で、2本の線で3分割されていて、それぞれ若干ふくらんでいるような柔らかい雰囲気があります。触り心地はかなりさらさらしていて悪くないのですが、品質はそこそこ。
背面は中央にセンサー、端の方にスピーカやマイクのスリットが見られます。
全体的にデザイン性が向上し、かつファッショナブルな見た目になったという印象です。
Watch 3 Proの変更点

前モデルのWatch Pro 2と比較するとこんな感じです。画面サイズは約10%拡大していて、ライトグレーの色もワントーンアップしています。
また、今回のモデルでは交換ベゼルが廃止されました。純正の交換ベゼルは2種類しか販売されていなかったし、ベゼルが勝手に外れて紛失してしまうケースも(Nothing コミュニティによると)しばしばあったようなので、妥当な変更かと思います。
回転操作が可能なクラウンは本モデルも存続しています。クラウンと対になる部分にあるロゴは新モデルの方がやや濃くなっていて、より強調されている印象です。
ベゼルに関しては角ばっている方が好みだったんですが、皆さんはいかがでしょうか。

センサーも強化されていて、背面を比較すると実際にセンサーが増えて大きくなっていることが確認できます。4チャネル心拍センサーで睡眠測定の精度が向上したと謳われていて、スポーツモードやAIランニングアシスタントなど、ソフトウェア面でも強化されています。

バッテリーは前モデルから45mAh増加しましたが、その分厚みも0.8mm - 1.3mmくらい増しています。許容できるレベルですが、もう少し薄くなってくれるとありがたい。
気になる駆動時間は通常使用で約13日(公称)とのことで、2日分伸びています。GPS連続使用時の公称数値は25時間 → 17.2時間に減少していますが、シングルバンドGPS → デュアルバンド GPS (L1 + L5) に強化されたことが主な要因でしょう。都市峡谷や樹林帯の精度向上とのトレードオフですね。
以下が公式のスペック情報をもとに作成した比較表です。
項目 | CMF Watch Pro 2 | CMF Watch 3 Pro |
---|---|---|
画面サイズ | 1.32インチ AMOLED、466×466 | 1.43インチ AMOLED、466×466 |
画面輝度 | 最大620 nits | 最大670 nits |
重量 | 44.4g(オレンジ/ブルー)または48.1g(ダークグレー/アッシュグレー) | 51.0g(ライトグレー)、51.9g(ダークグレー、52.4g(オレンジ) |
厚み | 約13.6mm-13.9mm(カラーによって異なる) | 約14.4mm-15.2mm |
測位方式 | GPS / GLONASS / Galileo / QZSS / BeiDou | デュアルバンド GPS (L1 + L5) / GLONASS / Galileo / QZSS / BeiDou |
バッテリー | 305mAh / 約11日 / GPS連続約 25 時間 | 350 mAh / 最大約13日/ GPS連続約17.2 時間 |
防塵・防水 | IP68(プール・浅瀬・温水シャワー等での着用は非推奨) | IP68(プール・浅瀬・温水シャワー等での着用は非推奨) |
価格 | 11,000円(税込) | 13,800円(税込) |
ちなみに、CMF Watch Pro 2のベゼルを交換すると、瓜二つになります。

OSは順当に進化

OSに関しては、今回も独自開発のものが搭載されています。ビジュアル的にはWear OS風が基本で、そこにNothingらしいドットや効果音などのエッセンスが散りばめられている感じです。
タッチディスプレイの反応はやや遅いかなと思いつつも、アニメーション、カスタマイズ性、リッチなビジュアルでユーザー体験の向上が図られています。
操作レスポンスと安定性
全体的にサクサク動いていますが、タッチディスプレイ由来の引っかかりをたまに感じることがあります。特に大きな問題ではないのですが、軽く触れておきます。
フリーズしたりすることもなく動作は安定していますが、クラウンの操作時に若干フレームレートが落ちるというところが少し気になりました。
クラウンを回した時の触覚フィードバックはいい感じです。前モデルのバイブよりもずっとリッチになっていました。
アプリ通知とフォント

今回はiOSと接続しているんですが、アプリ通知は問題なく届いています。フォントのいわゆる中華っぽさもなく視認性も十分です。

絵文字は対応していないものが多いですが、全ての絵文字に対応させようとすると、コストもかかりそうなので仕方ないところ。アプリアイコンは表示されるので、直感的に「何のアプリからの通知か」認識しやすい点はナイスです。
ウォッチフェイスとカスタマイズ性

やはり、Nothingのウォッチフェイスは全体的にビジュアルが良いです。この点はスマートウォッチとして大きなメリットかと思います。前モデルになかったウォッチフェイスが多数追加されていて、物によっては「何を表示させるか」をカスタマイズできるものもあります。

なお、本体に常に置いておけるウォッチフェイスは6個までで、新しいものと入れ替えたい場合はアプリで操作する必要があります。

アプリではウォッチフェイスだけでなく、ウィジェットのカスタマイズも行えます。タイルを並べ替えたり、好きなウィジェットを追加したりできます。私の場合はタイマーをよく使うので追加していますが、CMF Watch のタイマー機能ってちょっと使いにくいんですよね(笑)。
ちなみにウィジェットは、ホーム画面を横へスワイプすることで切り替えることができます。
新機能の実用性

今回から直近のニュースを音声で聴ける「Essential News」と「録音の文字起こし」機能が追加されました。その実用性はというと、今のところ微妙です。
Essential NewsはNothingのCFO、Tim Holbrow氏の声をもとに作られたAI音声で、直近の要約されたニュースを読み上げてくれる機能です。AI音声は自然ですが、音がかなり小さくてかなり聞き取りにくいというのと、英語にしか対応していないという点で実用度は低めです。

録音の文字起こしは、本体で録音した音声をスマホに転送し、文字起こしができるというものです。これも今のところ英語のみ対応。ただ、軽いボイスメモとして使う分には良さそうです。
他には電卓、天気予報、アラーム、タイマー、カレンダー、リマインダー、通話、音楽コントロールなどがありますが、どれも問題なく使えます。アラームなんかは本体にスピーカーも付いているので、十分実用的です。
なお、私がよく使うタイマーに関しては、あらかじめ用意されているプリセット以外使えないのはやや不便。プリセット以外の時間はその都度セットする必要があります。
また、ChatGPT対応も謳われていますが、Nothing Phoneシリーズと接続している場合のみ使用できるものなので注意です。
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トラッキング精度はやや不安定

本モデルでは心拍数、歩数、睡眠、ストレスなど基本的な項目は網羅しています。精度の点で少し気になったのが、ワークアウト中のカロリー測定。
ヨガを15分程度行っただけで300kcal以上消費したという結果に。いや、ありえんだろ!
15分のヨガであればせいぜい50kcalくらいの消費が限界で、15分で300kcalを消費するにはオペラを歌いながら休まず全速力で走り続けなければなりません。
とはいえ、基本的に正常な結果が出ることがほとんどですし、心拍数やトレーニングスコアには異常は出ていません。ハードよりソフトウェアのバグである可能性が高そうなので、とりあえずNothingにフィードバックを送っておきました。

睡眠測定に関しては概ね良好です。覚醒のステージが認識されないことはありますが、睡眠時間はほぼ正確です。
また、測定精度の評価からは少し外れますが、アプリ内でグループ化された「夜間の睡眠時間」と「昼寝時間」の数値が気に入りました。夜間の睡眠と昼寝のバランスを即座に認識できるので。

私は夜間の睡眠は十分ですが、昼寝過多ですね。
血中酸素濃度やストレス測定はあまり使わない上、精度に関しても分かりません。ただ、測定時にバンドの締めが緩かったり装着位置が良くないと怒られるので、「自動で測定したい」という方はしっかり装着しましょう。
バッテリー持ちは改善の余地あり

バッテリーは公称で通常使用で約13日、AOD(常時表示)使用 + ヘビーユースで約4.5日(公称)となっていますが、実際に使用してみると通常使用で10日程度(1日10%ずつ減っていく)、それに加えてAOD使用で2日程度といったところです。
ワークアウトモードは使わず、高度な睡眠と手首を持ち上げて点灯するモードを有効にし、通知は1日に5-10件程度という条件下でした。

これに加えてワークアウトを毎日行ったりGPSを使うケースではもっと短縮するはずです。AODはバッテリー持ちが絶望的になりますし、そもそもめちゃくちゃ暗いので屋外ではほぼ見えません。
バッテリー持ちは同価格帯の市場を見れば相対的に良いとは言えませんが、(AODを除いて)実用的だと思います。充電スピードも約1時間半(公称99分)で完了しますし、バッテリー周りは良しとしましょう。
接続性について

これ、気になっている方いると思います。特に以前のモデルを持っている方にとって。
結論から言うと、前モデルにあった「スマホとの接続が切れる問題」は完璧に改善していません。が、確実に良くなっていました。
接続後、しばらく経つと接続切れのアイコンが表示されるのは以前から変わっていません。しかし、スマホの通知や音声アシスタントの起動は機能するのです。
興味深いことに、接続が切れた後はスマホアプリベースで動くEssential Newsや天気予報が動きませんが、スマホとのBluetooth接続は切れずに通知は届くという状況になっています。
また、Watchで「音声アシスタント機能」を開くと自分でアプリを開いて再接続しなくても、接続が完全に復活するという挙動も確認しました。これが接続問題が完全に解決するまでの一時的なソリューションとなりそうです。
しかし、今回試したのはiOSで、Androidではまた違った挙動になるかもしれません。この点はまた後日試してみて、何かわかることがあればここに追記したいと思います。
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アプリがCMF Watch → Nothing Xへ移行

今回のCMF Watch 3 Pro発売と同時に、アプリが従来のCMF WatchからNothingのオーディオ製品で使われていたコンパニオンアプリ「Nothing X」へと統合されました。(この統合のおかげで接続問題解決へ一歩進んだのかも)
ペアリング時にデータ移行の案内が表示され、ログインするとCMF WatchアプリにあるデータをNothing Xへ移行してくれます。もし前モデルを利用していてデータ移行をしたい方がいらっしゃれば、2026年7月までに手続きを済ませましょう。

Nothing Xに統合されてよりNothingらしいデザインになりました。CMF Watchアプリでできていた機能はそのまま使えていい感じです。
HuaweiやXiaomiのアプリほど細かい情報は見れないものの、情報が整理されていて直感的に見たいものへアクセスできます。
おすすめできるか

予算1万円前後でスマートウォッチが欲しい人、そしてこのデザインが好きな人にはおすすめできる。ウォッチフェイスのクオリティも高く、ボディの質感も高いので身につけると「おぉ...」って感じです。
一方で、このデザインに惹かれないならわざわざ選ぶ必要はないと思っています。同価格帯でより長持ちするバッテリーやソフトウェアの安定性を上回るものが存在するので。
接続性の問題はソフトウェアの更新で対応できるものかもしれないので、改善されればなお良しです。
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どんなユーザーには向くか
日常の通知や通話、アラーム、音楽コントロール、そして睡眠や歩数といった基本の活動ログを整えたい人には相性がいいと思います。見た目の満足度が高いので、単純に身につけて気分が上がるタイプでもあります。
軽いウォーキングやゆるいランでたまにルートを残す程度なら、デュアルバンドGPSの恩恵も感じられるはず。ただし日中の直射日光下では画面の視認性が物足りない場面があり、AODを常時使う運用だとバッテリーも厳しめ。屋外スポーツ中心で「いつでも見やすいこと」を最優先するなら、より高輝度のモデルを選ぶ方が後悔が少ないです。
計測は概ね良好ですが、ときどき消費カロリーなどで外すことがあるので、数値の厳密さを求める用途よりは日常の目安くらいに留めるのが無難です。
最後に、接続問題に改善がみられて嬉しい限りです。前モデルではこの部分で大きく評価を落としましたが、今回は「スマートウォッチとして」おすすめできるモデルになりました。
以上、CMF Watch 3 Proレビューでした。
CMF Watch Pro 2のレビュー記事は以下から。