英コンシューマー・テクノロジー企業Nothingのサブブランド、「CMF by Nothing」から発売された「CMF Watch Pro 2」をレビュー。
まず、前モデルのCMF Watch Proとの大きな違いは、スクエア型からラウンド型になった点。そして、交換可能なベゼルが採用されたことです。新たな要素や全体的なスペック向上が施されているにも関わらず、価格は据え置きの11,000円です。
本記事では主に以下のようなセクションで進めていきます。
- 外観・デザイン
- トラッキングの性能・主な機能
- ソフトウェア・アプリ連携
- まとめ
目を惹くCMF
まず、このデザイン最高です。形状も良いですし、デジタルクラウンとCMFのロゴが対角の関係になっている点も、洗練度を高く見せています。
Colour (色)
筆者が購入したのはアッシュグレー。他にはオレンジ、ダークグレー、ブルーがあります。
色は暗すぎず、明るすぎないような感じで、ストラップの色もアルミ筐体と絶妙にマッチしています。他のカラーの実機は見ていませんが、アッシュグレーは比較的一体感のあるカラーであると思います。
Material (素材)
ベゼルも筐体のフレームもアルミニウム合金なので、それなりの高級感があります。厚みは1.36cmあるものの、ベゼルがシャープになっているためか重圧感はあまり感じません。
ディスプレイはもちろんガラス製で、サイズは1.32インチのAMOLED、解像度は466x466、リフレッシュレートは60FPS、明るさは620ニトとなっています。解像度は十分、明るさは屋外使用にも問題ないほど視認性は良好です。動きが滑らかなディスプレイも良い。
前モデルのWatch Proにはなかった、自動調光うこうにも対応。
バンドの素材は液体シリコーン製。ちなみに、バンドの素材とベゼル形状が2パターンあります。
オレンジとブルーは革製ストラップ、ベゼルはカーブしています。一方でアッシュグレーとダークグレーは、液体シリコーン製ストラップ、ベゼルはフラットになっています。
筆者はフラットタイプが好みだったので、アッシュグレーを選択しました。
背面はプラスチックで、中央にセンサーとサイドにマイクやスピーカーが配置されています。
Finish (仕上げ)
筐体のアルミニウム合金は、マットな仕上がりになっています。触ってみると指が滑らかに滑り、粗さはほとんど感じません。ストラップはさらさらながらも程よいグリップ感があり、心地よいです。バックル部分も金属製で、マットな仕上がりになっています。
前モデルのCMF Watch Proは、筐体はマット、ストラップのバックルは光沢のある仕上げでしたが、今回は一貫してマット仕上げになっているようです。
ストラップのクオリティも高いので、装着感は良好。重量はストラップ込みで48.1gと、見た割には軽く感じます。ブルーとオレンジはベゼルとストラップが異なるため、重量は44.4gと若干軽いです。
交換可能なベゼルとストラップ
Watch Pro 2の目玉と言える機能で、ストラップはもちろん、ベゼルを交換できるというものがあります。しかしながら、執筆時点(7月14日時点)では、交換用のベゼルとストラップは日本で販売されていないため、交換を試すことはできませんでした。
ストラップとベゼルを替えてウォッチの雰囲気を大きく変化させられるという点では、とてもユニークで良い機能であると思います。
ちなみに、このような機能があってもIP68 防水・防塵に対応しています。
歩数や睡眠のトラッキング
到着して3日ほど、睡眠や歩数トラッキングに使用していますが、今のところ精度は悪くないようです。CMF Watch Pro(以下前モデル)の睡眠測定では、就寝・起床を正確に検出できなかったり、二度寝が検出されない問題がありました。
今回のモデルでは、就寝・起床に加えて二度寝、さらには短いお昼寝も正確に測定してくれるようになりました。加えて歩数や心拍のトラッキングも、違和感なく利用できています。
その他の測定機能として、ストレス測定、血中酸素濃度、生理周期トラッキング、1日どれだけ動いたかをスコアリングするアクティブスコアなどの基本的な機能は揃っています。
また、ワークアウトを始める前のウォーミングアップ動画という新機能も搭載されました。
ウォーキングやランニング、サイクリングなどを自動で検出する機能もあります。
ワークアウトの種類は110種類
筆者はハードな運動はしないので、今回はウォーキングを試してみました。
デジタルクラウンを押して、メニューを開くと、アプリリストの一番上にある「軽い運動」を選択します。本体で表示できるのは概ね20個ほどで、スマホアプリ内で並べ替えたり、入れ替えすることができます。
さて、早速ウォーキングを開始しましょう。屋外ウォーキングをタップすると、GPSの測位がはじまります。これが筆者の使用場所では非常に時間がかかりました。ちなみに、GPSはGPS/GLONASS/Galileo/Beidouに加えて、日本の準天頂衛星システムみちびき(QZSS)にも対応しています。
大体5分程度歩いてみます。ワークアウトのUIはシンプルで見やすいです。左にスワイプすると音楽コントロール、右にスワイプするとワークアウトの終了が可能です。
ワークアウト中は歩数、心拍、消費カロリーなどの基本的な情報しか確認できないようですが、ワークアウト終了後の画面では本体のみで多くの情報が確認できます。ペースや歩幅はもちろん、トレーニング負荷なども確認できます。
比較的ひらけた場所でGPSのルート記録を試したところ、ほぼ完璧にトラッキングされていました。
場所によっては数十センチ程度の誤差はありましたが、GPSのトラッキング性能は高そうです。
しかしながら、測位に時間がかかる点は残念(場所によって変わるかもしれません)。測位完了を数分待つくらいなら、スマホで直接ルート記録をしたほうが早そうです。
シンプルな独自OSを搭載
本モデルはGoogleのWear OSではなく、Nothing独自のOSが採用されています。前モデルも独自OSでしたが、フォントやアイコン、全体的なUI改善で視認性が向上し、新機能も追加されています。
主な機能は以下の通りです。
- メッセージ通知
- ジェスチャーコントロール
- 音楽再生コントロール
- カスタマイズウィジェット
- アラーム/タイマー/ストップウォッチ
- 天気予報
- 世界時計
- カレンダー
- リマインダー
- 計算機
- 呼吸トレーニング
などです。
前モデルにはなかった、ジェスチャー機能、カスタマイズウィジェット、カレンダー、リマインダー機能などが、新たに追加されています。
ジェスチャー機能では、『手首を回す』や『腕を振る』で計算機やカレンダーを開いたり、電話を拒否するなどの操作が可能です。
しかし、使い勝手は良くありません。反応しないこともありますし、腕を振った時に画面が消えてしまうことも頻発します。
使えなくはありませんが、今後使いたいとは思えません。
そして、新たにカスタマイズウィジェット機能も追加されました。ワークアウトをすぐに開始するショートカット、音楽コントロール、心拍数などを左右にスワイプするだけで表示できます。CMF Watchアプリでカスタマイズ可能です。
少し惜しい点として、音楽コントロールのウィジェットは、再生している音楽やポッドキャストのカバーアートは表示してくれないようです。アステカのようなグラフィックが表示されるのみです。
ここは再生しているコンテンツに応じて、変更されるようになったら尚良いなと思います。
そしてもう一点、デジタルクラウンも搭載され、モーションは滑らかで操作感はとても良いのですが、ウィジェットに対してタップが反応しないことがある点は気になりました。
なお、他のシーンでは発生しないので、ソフトウェアアップデートで改善できる可能性は高そうです。
通知に関してはアルファベットはもちろん、日本語のひらがなやカタカナ、漢字も表示できます。ただし、絵文字には対応しているものとそうでないものがあり、非対応な絵文字は豆腐(四角)表示になります。
LINEやDiscordなどの主要なアプリのアイコンはしっかり表示されます。
ちなみに、本体にはスピーカーとマイクが搭載されているので、Bluetoothによる通話機能にも対応しています。実際には試していませんが、スマホと接続されている時は、発着信が可能なようです。
ソフトウェアについてはこんなところでしょうか。この筐体を含め1.1万円であることを考えると、クオリティは高いです。少なくとも、前モデルからハードウェアもソフトウェアも大きく進化し、より良い体験が得られます。
スタイルはWear OSに似ているので、Wear OS搭載のスマートウォッチから乗り換える方も、あまり違和感なく使えるかもしれません。
CMF Watchアプリはやっぱり微妙
Watch Pro 2の連携は、iOS/Androidで利用可能な「CMF Watch」という専用のアプリを使用します。
前モデルが発売されてから、「アプリのタスクを終了すると、スマホとの接続が切れる問題」がありました。なんと、これまだあります。
というか、タスクを終了しなくても、数時間経つと勝手に切れてしまいます。
今回レビューに使用しているのはiOSですが、Androidでも同様の問題が起こるかどうかは早めに検証したいところ。この問題は本当に早く修正していただきたいです。
上記の問題は中々大きいですが、歩数、心拍数、睡眠、ストレス、ワークアウトの記録などは、正常に同期されて確認することができます。
また、ウォッチのワークアウトリストや文字盤の入れ替えもこのアプリで行えます。
文字盤はシンプルでクリエイティブなものやアニメーション付きのものから、ウィジェットやショートカットを設定できる機能的な文字盤まで、クオリティの高いものが多くあります。ちなみに、上のスクショは英語ですが、日本語にも対応しています。
ちなみに、ウォッチ本体の文字盤は6種類を同時に保存できます。新しい文字盤を追加したい場合は、既存の文字盤と入れ替える形になります。
常時表示にも対応しており、10種類の文字盤から選択できます。また、色やショートカットをカスタマイズできる文字盤もあります。
通常の文字盤は現時点で80種類程度あるとのことで、7月末までに100種類以上になるそうです。
フィットネスデータはApple Health、Google Health、Stravaと同期することができるのは嬉しいところ。
バッテリー持ちは期待できそう
Nothingによると、通常使用で11日間、ヘビーユースで9日間だそうです。通常使用の使用環境は以下の通りです。(Source: Nothing ラボ)
- 1日あたりの心拍検出数288回(5分/回)
- 画面点灯回数100回
- メッセージ通知件数200件
- アラーム3回
筆者はまだ数日しか使えていないため、Nothing ラボのデータを引用させていただきました。筆者は常時表示を有効にしていて、軽くウォーキングしたり、色々いじっていると1日で30%程度減ります。ですので、常時表示で運用する場合は3〜4日程度の持続でしょうか。
バッテリー持続は長ければ長いほど良いですが、1週間前後持続すれば充電の煩わしさも少ないでしょう。
充電は付属の専用充電器で行いますが、充電時のアニメーションが何気に凝ってて良いなと思いました。
まとめ
CMF Watch Pro 2は、価格の割に高いデザイン性と多機能さを兼ね備えた魅力的なスマートウォッチです。トラッキングの精度も前モデルから向上しており、ソフトウェアも進化を遂げています。
ベゼル交換機能など、ユニークな機能もあり、価格と性能のバランスは非常に優れていると言えます。
一方でアプリは今ひとつではありますし、交換用ベゼルやストラップなどのアクセサリも不足している点は惜しいです。
しかしながらスマートウォッチを初めて買う方にもおすすめできる1本ですし、他のスマートウォッチからの乗り換えを検討している方にもぜひ試していただきたい製品です。
次回は長期レビューをお送りいたします。