「reMarkable Paper Pro」ミニレビュー:究極の紙体験を実現する次世代デジタルノート

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Review
ワタソン
2024-11-22

デジタル時代においても、未だ欠かせない存在である紙とペン。

11.8インチのカラー電子ペーパーディスプレイを搭載した「reMarkable Paper Pro」は、デジタルの利便性と紙の自然な書き心地を兼ね備えたデジタルノートです。

開封していく

reMarkable Paper Proと2つアクセサリー外箱

筆者が購入したのは、reMarkable Paper ProとアクセサリのBook Folio、Marker Plusです。それぞれ紹介していきます。

まずは本体から。同梱物はType-Cケーブル、マニュアルのみでとてもシンプル。

本体に付属するTypee-Cケーブル

ケーブルは平たいタイプ。reMarkableのロゴも印刷されており、こだわりが感じられます。

購入したアクセサリは、画面まで保護してくれるBook Folioケースと、消しゴム機能が搭載されたペンのMarker Plus

Book Folioケースを閉じた状態

Book FolioはPremium leather、Mosaic weave、Polymer weaveの3種類があり、筆者は「Mosaic weave」のBasaltカラーを選びました。

黒ベースに、やや茶色っぽい繊維が混ざったような色合いで、右上にはreMarkableのロゴが控えめに添えてあります。カバーの端まで丁寧に仕上げられていて、糸のほつれなどはみられず、品質の高さがうかがえます。

Marker Plusと無印版の違いは、消しゴム機能の有無と色。無印版は筐体が白で、消しゴム機能無し。Plus版は筐体が黒で、ペンの上部が消しゴムとして機能するようになっています。

替え芯は6本。このケースまで丁寧に作られていますね。

ちなみに、無印版はデフォルトで付属していて、消しゴム機能がほしい場合は+8,000円でアップグレードできる仕組みです。

本体デザイン

本体のフレームと背面はアルミニウム、ディスプレイは特殊加工されたガラス製です。

フレームの滑らかさと、ディスプレイの一体感はかなりいい感じ。

本体下部にType-Cの充電ポート、上部には電源ボタンがあります。スピーカーやマイクは非搭載です。

ディスプレイサイズは11.8インチで、A5(10.1インチ)用紙よりひと回り大きいイメージ。

背面には4つの滑り止めと、Type Folio (キーボード付きケース) 用のピン、reMarkableのロゴがあります。

ディスプレイは、指で触れるだけでは紙らしさこそ感じられないけれど、見た目は紙にかなり近い

筐体はとても薄く、ケースを付けた状態でも裸のiPhone 13 miniと同じくらいの厚み。家の中ではケースを外して使おう…と言いたいところですが、かなり高価(99,800円)なデバイスなので少し躊躇してしまいます。

書き心地

これが本当に紙のようで驚きました。「紙に鉛筆で書いている」という感覚が最も近く、鉛筆よりやや重い書き心地です。

また、ディスプレイの解像度、反応速度ともに申し分なしです。高速で文字や絵を描いても、紙さながらの描写です。

もちろん、ペンの傾き筆圧センサーもついているので、濃淡の表現も容易です。

Marker Plusの消しゴム機能で書いたものを消す

搭載の消しゴムは、影響範囲が大きめなので小さな部分を消すのは少し難しいですが、消しゴムツールに切り替える必要がないので楽です。

本製品の一番の特徴が、ディスプレイにカラー対応で高性能なE Ink Gallery 3が採用されているところ。

Image: E Ink

カラーペンやマーカーは左のツールバーから簡単に切り替えできます。

ツールメニューで色を選択

実際に書いてみると、色が描写されるまでワンテンポ遅れてしまうものの、表現はそれなりに鮮やかです。

対応色は豊富ではありませんが、ちょっとした絵を描いたり、勉強用のノートとして使う分には問題ありません。

紙としての使いやすさ

本デバイスは「書くこと」に集中できるよう設計されているため、ソフトウェアはとてもシンプル。

「書ける機能」以外では、フォルダ作成やタグ付け、Google DriveやPCとの同期機能などの基本的なものだけです。

テンプレートの選択画面

開いてテンプレートを選択するだけで、すぐに書き始めることができたり、書いたものを簡単に整理できるという点では、紙以上に使いやすい。

暗い環境でフロントライトを点灯させている

また、フロントライトも搭載されているので、部屋のあかりが消えていても書くことができる点も良いです。

とはいえ、気になる部分はあります。

書く時の描写は速いのですが、メモリが2GBと最小限であるためか、OS自体の動作は少し遅い印象(書いているときは問題なし)です。ソフトウェアキーボードの入力も、速く入力しようとすると認識しないこともしばしば。

あくまで「書くこと」がメインではあるので、そこまで大きな問題ではありませんが一応記しておきます。

バッテリー容量は5,030mAhで、最大14日間の使用が(1日2時間、週5回使用の場合)可能で、90分で0%から90%まで充電できるとのことなので、バッテリー周りのストレスは少なそうです。

ちなみに、ペンの充電は本体の右側面にくっつけるだけ。磁力も強く簡単に落ちる心配はありませんが、持ち歩く際はFolioのホルダーで止めておくと良いでしょう。

最大のデメリットは「日本語非対応」

日本ユーザーには残念なのですが、執筆時点では日本語に非対応です。

日本語入力はもちろん、手書きの文字をテキストに変換する機能は使えません。

日本語フォントすらインストールされていないため、日本語のEPUBファイルは表示できません。(おすすめはできませんが、非公式の方法で日本語フォントをインストールすることは可能なようです。)

これらが解決されたら、日本ユーザーにとってより良いデバイスになるのにな…と思うばかりです。

この記事を読んでいて、reMarkable製品を所有している方はぜひ、reMarkableのWishes & Ideasから日本語対応をリクエストしてみてください。

デメリットはあれど、最高のデジタルノート

特にソフトウェア面で微妙な点はありますが、それでも書き心地は良いし、日常的に使うノートとしては最高だと思います。

このデバイスは特に、頻繁に紙とペンをたくさん使う人におすすめ。

日本語非対応ではあるものの、PDFなら問題なく表示して書き込むことができます。ネット上にある記事などをPDFとしてデバイスに送信するのも超簡単で、カラー表示もできるのは強い。

一方で、電子書籍などの閲覧に使いたいユーザーには不向きなデバイスであることは確かです。(今のところ)

電子書籍に関しては、KindleなどのDRM (デジタル著作権管理) で保護されているEPUBの表示には対応していないので、デバイスで見れるのはDRM保護がないWeb記事やPDFファイルのみです。

カラー表示できる強みが活かしきれていない現状は惜しい。今後のアップデートに期待したいところです。

Image: reMarkable

ちなみに、カラー対応の「書くこと」に特化したデバイスは現状少ない一方で、白黒のみ対応のものは選択肢がいくつかあります。

同メーカーのreMarkable 2SupernoteのA6 X2 NomadKindle Scribeなどもその一部です。

このあたりのデバイスも、近いうちにレビューをお届けできればと思っています。

reMarkable Paper Proは99,800円と電子ペーパータブレットの中ではトップクラスに高価ですが、価格なりの品質と体験は得られるのではないかと思います。

reMarkable公式ストアでの購入がおすすめです。関税や送料も込みで、1週間程度で届けてくれます。

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ワタソン
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2024-11-22