イヤホンケースで音を操れるって、意外と便利かも。
英Nothingのサブブランド、CMF by Nothingから発売された11,000円のイヤホン「CMF Buds Pro 2」のレビューをお送りします。
デザインと機能
イヤホンケースの外観は角丸な正方形で、左上に操作可能なダイヤルと、その対角にCMFのロゴが印刷されています。この製品の特徴的な機能が、このスマートダイヤル。
これで音量や曲送りなどの操作を、ケース単体で行えます。操作はアプリ内でカスタマイズ可能で、曲送り、ボイスアシスタントの起動、ANCのオンオフ操作などを割り当てることができます。
このダイヤルの感触が非常に良いです。回してみると程よい段差があり、カチカチという金属音が心地よいです。
前モデルのCMF Buds Proは丸型でしたが、今回は四角になっていて、エントリーモデルのCMF Budsに近い形状になっています。
見た目はエントリーモデルと似ていますが、エントリーモデルにあるダイヤルはストラップホルダーで、樹脂の質感も少し安っぽいです。新モデルは本体のほとんどが樹脂製ですが、若干グリップ感があり、心地よい触り心地です。
ケースを開けてみるとイヤホンが斜めに収められていて、イヤホンの角度に沿う形でCMF by Nothingの文字が印字されています。
ペアリングボタンは右下にあり、充電やペアリングの状態を示すインジケーターはケースの前側面、Type-Cポートは右側面にあります。また、イヤホンは防水・防塵はIP55に対応しているので、ちょっとした水飛沫や汗には耐えられるようです。
その他機能として、ノイズキャンセリング(ANC)、外音取り込み、イコライザー、デュアル接続機能があります。このデュアル接続があると、PCやスマホの出力を瞬時に切り替えられるので、便利な機能だと感じています。
ちなみに、筆者が購入したのはライトグレー。他にはオレンジ、ブラック、ブルーがあります。
装着感とフィット感
イヤーチップはS、M、Lの3種類が同梱されています。これが少し硬めで、全てのサイズを試しましたが、左側のフィット感がイマイチでした。これがちょっと気になるので、社外品のチップを試してみようと思ってます。
なお、長時間使用での疲労感や、耳から外れることはありませんでした。イヤホン本体も4.9gと軽いので、装着中の不快感もありません。
音質
11mmバスドライバーと6mmツイーターの組み合わせで、音質は良好です。
デフォルトでは低音が強めです。それが籠ったりガサガサとした音ではなく、とてもクリアで綺麗な低音を出してくれます。CMF Budsシリーズは低音に力を入れているようで、低音を強化するUltra Bass機能も5段階で調整できるようになっています。
アプリにはいくつかのEQプリセットと、簡易的なイコライザー調整機能もあるので、低音から高音まである程度調整することができます。メインブランドから展開されているNothing Ear (a)と比較すると、解像感という点で若干劣るBuds Pro 2ですが、高音から低音までポップな音を鳴らしてくれます。
1万円前後のイヤホンを探している方には、ぴったりなワイヤレスイヤホンと言えそうです。
オーディオコーデックはSBC、AAC、さらにはハイレゾコーデックのLDACにも対応しています。この価格帯としては上出来です。
ちなみに、空間オーディオにも対応していますが、少し音の広がりは感じるものの、大きな効果は感じられませんでした。
ノイズキャンセリング性能
ANC性能はスペック上では最大50dBとのことですが、低音ノイズのカットは良好でした。しかし、この価格帯ではやはり、人の声やキーボードのタイプ音などの高音はやはり低減されにくいです。
とはいえ、電車や飛行機での移動やカフェなど、日常使いでは十分実用的であると感じました。外音取り込み機能も重要な機能ですが、少しノイジーであるものの周りの音や会話は聞き取れるレベル。
そして少し驚いたのが、同社のメインブランドで展開されているNothing Ear (a)の外音取り込みと比べると、Buds Pro 2の方が聞き取りやすかったことです。
Buds Pro 2の方が周りの音が聞き取りやすく、風切り音の影響も少なく、より実用的であると感じました。Buds Pro 2の方が安いのに…。
搭載マイクも会話ができるレベルですが、屋外などで強風に襲われると音声が聞き取りにくくなります。強風時の通話は避けましょう…。
スマートダイヤルの使い心地
イヤホンケースの左上に搭載されているスマートダイヤルは、素材がアルミ製で回すとカチカチと心地よい音がします。
冒頭でもお伝えしましたが、回転で音量調整ができたり、クリックで再生停止、長押しでANCのオンオフなどができます。
アクションをカスタマイズすることもできます。イヤホンに触れなくても、ポケットに入っているケースで音量を変えたり、曲を飛ばしたり、ボイスアシスタントを呼び出せるのは便利です。
個人的に便利だと感じたのは、デスクの上にケースを置いて、スマートダイヤルで音量や音楽を操作できることです。筆者は主にPC作業時に利用しているのですが、筆者が使っているキーボードの音量や音楽のショートカットが使いにくいので、このスマートダイヤルは役立っています。
スマートダイヤルでアプリを起動できたり、フォーカスモードのオンオフを割り当てられたりなど、もっとカスタマイズ可能になれば良いと思います。
いずれにせよ、ケースの視覚的なアクセントになっているダイヤル、そしてそれを回した時のカチカチ感はたまりません。
ちなみに、イヤホン本体の操作は側面にある丸い部分をタッチすることで行えます。ここもアプリでカスタマイズ可能です。
バッテリー持続時間
バッテリー持続時間は、MacとiPhoneを同時に接続、ANCオン、装着時はほとんど音を流していた状態で連続使用しましたが、4〜5時間は持続しました。
ケースからイヤホンへの充電も速く、10%の状態から30分程度で100%になっていました。デュアル接続を使用しない状態なら、公称のANCオンで6.5時間くらいは持続するのではないでしょうか。ケースを含めると最長26時間持続するそうです。
ちなみに、Type-Cケーブルはしっかり同梱されていました。
ワイヤレス充電には非対応です。残念。
まとめ
CMF Buds Pro 2は、1万円前後の価格帯としては非常に高い満足度が得られるイヤホンです。
特に低音の表現力と、ケースに搭載されたスマートダイヤルの使い心地が印象的でした。音質面では、低音から高音までバランスの取れたポップなサウンドを楽しめます。
Nothing Ear (a)と比較すると解像感では劣るものの、価格差を考慮すれば十分な性能と言えるでしょう。ノイズキャンセリングもANCに大きなこだわりがない人には十分満足できると思います。
外音取り込み機能も、Nothing Ear (a)よりも聞き取りやすく実用的だと感じました。
一方で、イヤーチップのフィット感には改善の余地があり、ワイヤレス充電非対応なのは惜しいポイントです。
総じて、音質、見た目、そしてスマートダイヤル機能に魅力を感じる方におすすめできるイヤホンです。ただし、完璧なフィット感を求める方や、ワイヤレス充電を必須とする方には向かないかもしれません。
1万円前後のイヤホンをお探しの方に、ぜひ手に取っていただきたいです。