英ロンドンのNothingから発売された「Nothing Phone (2a)」を開封&レビューします。
薄箱を開けていく
箱の外観は、Phone (2a)が大きくクローズアップされていてインパクトがあります。充電器が入っていないので、箱自体もコンパクトです。
そして、今回もNothingの製品らしく、一度開封すると元通りにならない仕様になっています。
封を切ってみると、Phone (2a) がエンボス加工で表現された箱が出てきました。そこからさらに蓋を開けると、”Welcome to Nothing”の歓迎と共に、Phone (2a) 本体がお目見えに。
ちなみに、筆者が購入したのは12GB+256GBモデルです。価格は55,800円で、8GB+128GBは49,800円で購入可能です。
付属品はUSB-Cケーブル、SIMピン、マニュアルのみです。ケーブルやSIMピンはスケルトンデザインで美しいですね。
本体の包装の背面側には、おサイフケータイのシールが貼ってありました。説明書にもおサイフケータイの説明が記述されていました。完全に日本仕様のようです。
最初から保護フィルムが貼られていますが、これは輸送中の衝撃によるキズを防ぐためのものなので、別売りの純正ガラスフィルムを購入した方が良さそうです。また、今回購入していませんが、純正ケースもNothing公式サイトで販売されています。
本体のビジュアルと質感
筆者が購入したカラーのミルクは、フレームは白、ボタンは黒のアクセントが付いています。背面パネルは樹脂製で、透明ですが少し白濁しています。 ブラックカラーもあります。
ちなみに、フレームも樹脂製ですが、ボタンはアルマイト処理が施されたアルミニウムです。去年発売されたPhone (2)と比べると、Glyph Interfaceも少なく簡素化されていますが、背面の白濁も相まってか、全体的に柔らかい印象があります。
また、Phone (2)と比べて、筐体の丸みが強くなっています。この微調整も柔らかい印象につながっているのかもしれません。
背面の上部にある円盤はNFCコイルで、その中心に2つのカメラが配置されており、またその周りにGlyph Interfaceが搭載されています。
ちなみに、Glyph InterfaceはNothing Phoneの大きな特徴であるLEDで、通知やバッテリーのインジケーターなどの役割を担っている機能です。
そして下部には曲がりくねったケーブルのようなものと、NothingロゴとCEマークが印字されています。印字はグレーがかった色で、本体に対して控えめなコントラストになっています。
先ほども触れましたが、Phone (2a)は背面とフレームが樹脂でできているのですが、チープには見えません。ハイエンドなPhone (2)と比較してしまえば後者に軍配が上がりますが、5万円前後のスマホでは十分なビルドクオリティです。
フレームは少しラバーのような感触もあり、グリップが効いて持ちやすく感じます。背面パネルはゆがみも少なく、樹脂とは思わせない仕上げになっています。
ディスプレイは、6.7インチ有機ELの120Hz対応(30Hz~120Hz 可変)で、パンチホールが採用されています。ミドルレンジのスマホでよくみられる、不均一なベゼルではなく、四辺の幅がしっかり均一になっていて美しいです。
ちなみに、本体サイズは161.74 mm x 76.32 mm x 8.55 mmで、Phone (2)よりも若干大きいです。(ここだけの話、サイズはiPhone 15 Pro Maxよりもわずかに大きいです。)重量は190gですが、この大きさに対しては軽いです。
Phone (2)の方が見た目はプレミアム感ありますが、持ちやすさで言えばPhone (2a)が圧倒的に良いです。
防塵・防水はIP54規格を取得しているため、雨に濡れるくらいなら大丈夫そう。(でも水たまりに落ちたらちょっとまずいかも…)
洗練されつつあるNothing OS
Phone (2a)はAndroid 14ベースのNothing OSを搭載しています。Google Pixelに搭載されている、ピュアなAndroid感を残しながらも、設定やホーム画面はしっかりNothingによって磨かれています。
中でも、Nothingの個性を発揮しているのがホーム画面です。独特な壁紙やウィジェットによって、Nothingの雰囲気が演出されています。(壁紙をAIで生成できる機能なんかもあります。)
常時表示にも対応していて、そこにNotingの純正ウィジェットを配置することもできます。
ちなみに、筆者がNothing OSで特に気に入っている純正ウィジェットは、音楽コントロールや天気ウィジェットです。
多くはNothingのモチーフであるドットで表現されています。天気ウィジェットはアイコンだけでなく、気温も表示できます。気温は視認性を重視しているのか、ノーマルのフォントになっています。
他にも時計やバッテリーウィジェットはもちろん、歩数計やスクリーンタイムなどのウィジェットもあります。
1年前を思い返せば、どんどん洗練されてきているなと感じます。アップデートについては、NothingのPhoneシリーズでは、発売から3年間のOS、4年間のセキュリティパッチアップデートが保証されています。これからの進化にも期待です。
Glyphは少ないけど実用的
Nothing Phoneシリーズの大きな特徴であるGlyph Interfaceは、通知やタイマーなどをLEDで可視化する機能です。
光り方や音はプリセットから選ぶこともできますが、Glyph Composerでカスタマイズすることも可能です。
タイマー機能では、左上のLEDで残り時間が示されます。最大60分まで設定可能です。また、写真を撮影する際のタイマーインジケーターとしても使えます。
筆者は使いませんが、音に合わせて光るMusic visualisation機能もあります。
動作感はサクサク
SoCはPhone (2a)向けにカスタマイズされたMediaTek Dimensity 7200 Proを搭載しており、Antutuベンチマーク v10のスコアでは74万点に達しています。
Nothingのエンジニアによる最適化や滑らかなアニメーションのおかげもあって、動作は快適に感じます。
しかし、Snapdragon 8 Gen 1を搭載したPhone (2)と比べると、Google NewsやSNSのフィードをスクロールした際に、若干の引っ掛かりを感じることがありました。
筆者同様、ハイエンドスマホの動作感に慣れている方は、これが気になる可能性があります。
生体認証は光学式の指紋認証と顔認証に対応しています。いずれも高速で、精度も良好でした。
また、Phone(2a)はWi-Fi 6に対応している上、フレームが樹脂なので電波を全体でキャッチできるため、高速かつ安定した通信が可能です。(5G(Sub6)にも対応)
デュアルSIM対応ですが、eSIMには非対応です。
各社のバンドに対応しているので、au、ドコモ、楽天モバイル、ソフトバンクなどのキャリアでも通信可能です。筆者は楽天モバイルのSIMを入れていますが、問題なく通信できています。
カメラはイマイチ?(今のところ)
Phone (2a)は広角、超広角の2つのカメラで構成されていて、いずれも50MPなので解像度は高いです。いくつかサンプルを撮ってみたので、Phone (2)と比較しながら、1枚ずつ確認していきましょう。
まずは屋外で撮影したものですが、そこそこ綺麗に撮れているかと思います。Phone (2)と比較してみると、Phone (2a)は全体的に明るい印象です。
写った車を拡大してみると、テールランプやルーフに強めの補正が入っているのがわかると思います。個人的にランプの補正は不自然かなと思いますが、ルーフの角にかかったブルームはいい感じです。
こちらの写真もPhone (2a)の方が明るく撮れていますね。
続いて屋内です。明るさ補正によって、不自然なくらい明るく映ってしまいました。
若干ピンぼけしてしまいましたが、食べ物はいい感じに撮れました。ちなみにこれはフィッシュアンドチップスですね。(サクサクでした)
最後は煌めくネオンで締めくくります。一見悪くはないですが、ピントが合っていないのか、全体的にディテールが損なわれている点が気になります。
中央を拡大してみると、光がAI補正で塗りつぶされちゃっていますね。
スペック上の画素数はどちらも同じですが、質感やディテールはPhone (2)に軍配が上がりますね。Phone (2a)は低照度環境が苦手なようです。
ちなみにこれらの写真は、ポケットから出して素早く撮影したもので、露出を変えたりピントを合わせたりと言った事は行っていません。可能な限り条件を合わせるために、全て自動に任せています。
AI補正の部分はソフトウェアアップデートで改善される可能性が高そうです。まだ発売から2か月も経っていないので、今後に期待したいと思います。
(動画や写真の詳細な検証は後日、別の記事でお送り予定です。)
バッテリー持ちは良好
5,000mAhのバッテリーと最適化のおかげで、バッテリー持ちは良好です。筆者が使用していたPhone (2)と比べても、長時間YouTubeや音楽を聴いても長持ちします。Nothingによると、動画を29時間連続で再生できるらしいです。
「何時間も原神を遊ぶ」みたいな使い方をしなければ、余裕で1日以上は持ちそうです。
また、ワイヤレス充電には非対応ですが、有線充電は45Wと高速です。
Suica、使えます
Phone (2a)には日本で主流な非接触ICカード技術、FeliCaが搭載され、おサイフケータイにも対応しています。これによりSuicaを始めとしたiD、Quick Payなどの非接触型の決済系サービスが利用可能になりました。これはNothing Phoneシリーズ初で、発表当初大きな話題を呼びました。
Phone (2a)の場合、FeliCaチップはカメラ周りに搭載されています。筆者はまだ使用していませんが、Nothing PhoneでもSuicaが使えるのはうれしいポイントです。
「原神」は設定次第でギリギリ遊べる
ゲームテストとして、原神を遊んでみました。最高設定では30fps前後しか出ませんが、低設定にしてあげると40fpsほど出るようになりました。戦闘でスキルもたくさん使うと、30fps前後に落ち込むのでギリギリ遊べるくらいでしょうか。
スピーカーの音質もステレオで悪くないです。有線イヤホンは接続できませんが、ワイヤレス接続のオーディオコーデックはLHDCに対応しているので、Ear (2)などのハイレゾ対応イヤホンも高解像度で利用可能です。
ちなみに、Nothing Phoneシリーズで最もハイスペックなPhone (2)の場合、最高設定でも60fps前後で遊ぶことができます。ゲームもカメラも多少こだわるユーザーなら、Phone (2)をおすすめしますが、カメラもそこそこ、ゲームもそこそこなユーザーにはPhone (2a)をおすすめできます。
Pixel 7a と Phone (2a)
Pixel 7aはあいにく持っていないため、しっかり比較することはできないのですが、スペック上では「Pixel 7a」と「Phone (2a)」は大差がない上に、価格はPhone (2a)の方が約2万円お安いです。Phone (2a)のデザインにときめいた方は、買っちゃって良いかと思います。
一方で、リアルタイム文字起こしや消しゴムマジックのようなAI機能を使いたい方は、Pixel 7aを選ぶのも良いと思います。
なお、いずれも3Dゲームを快適に遊べる程のスペックでは無い点をご留意ください。
今のところ、Nothing Phone (2a)はミドルレンジスマホで、最も優れたスマートフォンであると思います。本製品はNothing公式サイトか、IIJmioなどのキャリアからも購入可能です。
総評
良い点
- 高いビルドクオリティ
- おサイフケータイ対応
- お手頃な価格(49,800円から)
- 持ちやすい
- 綺麗なディスプレイ
- Glyph Interfaceの搭載
- 長持ちバッテリー
悪い点
- カメラがちょっと微妙(アプデで改善する可能性あり)
- 樹脂製なのでキズには弱い
- たまに動作がモタつく
- ワイヤレス充電非対応
(長期使用レビューは後日お届け予定です。)